カウンセリングルームながまち 室長 精神保健福祉士 樋口明夫
1.12月4日第504回宮城県アディクション問題研究会に参加しました
12月のアディクション問題研究会は、福島学院大学心理学部教授 大橋雅啓(まさのぶ)様より、「アジアにおけるメンタルヘルスの現在地-アジア太平洋ソーシャルワーク国際会議の報告を中心に」のテーマにて、お話を伺いました。
大橋様は、以前仙台市職員として精神保健福祉業務に従事されたのち、大学での研究、専門職育成に転身され、福島学院大学で教鞭をとられる傍ら、現在、日本精神保健福祉士協会理事、日本ソーシャルワーカー連盟国際委員会委員長も務めておられます。
2.11月にスリランカで行われた「アジア太平洋ソーシャルワーク国際会議」
大橋様は、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)の国際会議の様子をSNSで発信されており、世界のソーシャルワークの世界で、今何が課題とされているのか、直接お話が聞けないかと考えました。
ダメもとでお願いしたところ、快諾していただき、ちょうど11月18日から21日までスリランカの首都コロンボで行われる「アジア太平洋ソーシャルワーク国際会議」に出席してこられるとのことで、同国際会議のご報告を中心にお話していただくことになりました。
大橋様は仙台市職員時代に、当研究会に出席しており、スピーカーを務めるのは25年ぶりくらい、とのことでした。
3.国際会議のメインテーマ「気候変動およびその他の環境問題へのソーシャルワークの対応」
今回の「アジア太平洋ソーシャルワーク国際会議」のメインテーマは「気候変動およびその他の環境問題へのソーシャルワークの対応」とのことでしたが、最初にこのテーマを大橋様よりお聞きした際は頭の中に疑問符がたくさん浮かびました。
日本のソーシャルワーカーで、「気候変動その他の環境問題」を、ソーシャルワークの目下の課題と考えている人はほとんどいないと思います。しかし、アジア太平洋地域の国際会議のメインテーマに設定されるということは、この地域の多くのソーシャルワーカーが大きな課題と考えていることになります。
4.ソーシャルワーカーの立ち位置の違い、国情の違い
大橋様によれば、日本では自治体が優秀で、気候変動が背景にある大規模災害などの対応のかなりの部分を自治体職員を担うことができてしまうが、他国、特にいわゆる途上国の場合はそうではないので、災害時等にソーシャルワーカーに求められることが大きくなってくるとのことでした。
また、ソーシャルワーカー資格保有者のありかたも、国によって大きく異なり、日本の社会福祉士、精神保健福祉士と、アメリカ、オーストラリア、韓国等のソーシャルワーカー資格保有者の比較について説明がありましたが、あまりの違いに驚かされました。
国際会議のメインテーマを最初に聞いたときは疑問を感じましたが、これらの国情の違い、ソーシャルワーカーに求められるものの違いを踏まえると、少し理解できるようになってきました。
5.「環境正義」、「気候正義」、「グリーンソーシャルワーク」
ここ10年くらい、ソーシャルワーカーの国際会議では、「環境正義」、「気候正義」、「グリーンソーシャルワーク」などの概念がテーマになることが多いとのこと。
日本では(少なくとも私にとっては)、あまり聞きなれない言葉なのですが、日本からもかなり多くの若いソーシャルワーカーが、自治体、学校、医療機関等における実践を今回のスリランカでの国際会議で発表していたとのことです。
若い現場の実践者が、問題意識をもって実践的な研究を行い、国際的な場で発表をするのは、大変素晴らしいことで心からエールを送りたいと思います。
以前から公害問題、大災害の被害などへの対応を強いられてきた我が国の体験は、他の多くの国に生かすことができるかもしれません。国情や社会システムの違いはありますが、他国の体験がわが国の課題解決に役立つことも多いはず。
国際的なソーシャルワーカーのつながりを構築し、体験と知恵を共有する国際会議の意義を教えていただきました。
大橋様、スリランカからの帰国から間もなくの時間のない中、講義資料を作成していただき、大変お忙しい中仙台まで足を運んで貴重な講義をいただき、本当にありがとうございました。

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