蒲生干潟

身体的な能力と自己肯定感

1 高齢のご夫婦が並んで歩く姿を見て
2 歩く速度と心の距離
3 身体的能力と心の自己肯定感

1 高齢のご夫婦が並んで歩く姿を見て

個人旅行で外国へ行くのが好きで、よくヨーロッパの街などを歩いていると、老夫婦が手をつないで浜辺を歩いているのを見かけます。

「こんなふうに夫婦仲良く年を取りたい。」と思ってしまう光景ですが、
一度、ケガをして整形外科に入院した時、やはり日本の病院でも高齢のご夫婦がお互いに支え合って通院されている姿に「あんなご夫婦になれたら素敵ですね」と病室で話したところ、同じ病室にいらっしゃった人生経験豊富な先輩の女性たちから、「なーに、お互いを杖がわりにしているだけで、心の中では何を考えているかわからないよ」と笑いが起こりました。

たしかに心の中まではわかりませんが、高齢のご夫婦が手をつないだり支え合って歩いている姿を見るのは、なんとなくほっこりするものです。

2 歩く速度と心の距離

結婚プロデューサーのブログを読むと、女性が男性を振る重要なファクターの一つに、「一緒に歩くときに、自分のペースでさっさと歩き、歩調を合わせてくれない」ということがあるそうです。
(→club MARRIAGE 2023 7/29「男性が気づいていない、デートで歩調が合わないとフラれる話。」)

男性の側は往々にして無自覚で、「歩く速さぐらいで」ということでしょうが、背中を向けて置いていきぼりにされる女性の側からすると、「自分は大切にされていない」、「おそらくこの先も、この人は私のペースに合わせてはくれないだろう」と感じてしまうのも、わかる気がします。

確かに、歩くのが遅い側に配慮してくれる人からは、相手への配慮や優しさ、大切にされている感じを感じるため、そうした配慮がない場合は、逆に「この先の人生を(歩幅を合わせて)一緒に歩いていけそう」という安心感が感じられない、と思うのも無理はありません。

相手から受ける配慮などの安心感は、自己肯定感にもつながるものですから、長い人生を伴にする相手について、「一緒に歩く時の速度」に着目する、ということは、賢い着眼点だとも思います。

とはいえ、健康でそもそも足の長さが違う男性が、女性に合わせてばかりいれば、今度は男性の側でストレスになるかもしれません。

ここで大切なのは、歩く速度の問題というより、お互いを配慮できる力や、歩み寄れる力を、互いにどれだけ持てるかなのでしょう。

3 身体的な能力と自己肯定感

私などは、難病持ちで、大前提として他人と同じ速さで歩くことに常に努力を要するため(悲しい気持ちは変わらず持っていますが)、「速足で歩くほうが老化は遅れる!」と心の中で自分に言い聞かせ、頑張って、自分が可能な最大限の速足で歩くようにしています。
それでも、知らず知らず人から遅れていくことは少なくありません。

安心感や自己肯定感は、他人や周囲の環境から受け取るものと、自分で育むものから成り立ちますが、もし、不幸にして他人や周囲など、自分の外側から安心感を十分に受けられない場合、私達は自力で、自分を満たせる最大限の自己肯定感を育むしかありません。

加えて、難病などで身体的能力が低い状態になってしまった場合、自分で自分の安心につながる自己肯定感を育てていくことは、かなり困難になることがあります。

例えば、私は一時、大けがをして車椅子の生活をしていたことがありますが、大学時代、足に障害をお持ちの方の日常生活の介助のボランティアをした経験があったにも関わらず、自分がいざその立場になってみると、車椅子での生活がいかに他人事だったかを思い知りました。

日常生活の不便は言うに及びませんが、自分の気持ちを上向きにするような、おしゃれをしたり、音楽を聴いたりするような気持ちにすらなれず、ただでさえ低めの自己肯定感を維持することすら難しかったのです。

そうした体験をしてきたため、障害をもっていてスポーツで活躍している方などは本当にどれだけ努力をされたのだろう、と感嘆する一方、目に見える障害でなくとも、身体的な能力の低下、不足のために、なかなか自己肯定感を持てず、辛い思いをされている方についても、(それが真実だとしても)「みんな違って、みんないい」などといった過度に一般化された言葉を吐くことはできません。

身体的能力、ということが、容姿や学力などにもまして、本当に様々な形で、自分は大切にされているという気持ち(安心感)や自己肯定感に影響することを考えてしまうからです。

そんなことをつらつら考えると、25年にわたる病気とのお付き合いで心身ともに疲れやすい私も、自分で自分を満たす力を育むべく、落ち込みがひどくない日は、いそいそとストレッチと軽い筋トレに励む今日このごろです。

カウンセリングルームながまち 上級心理カウンセラー Chie

(写真は仙台市宮城野区の蒲生干潟(2026年1月))


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