ポジティブになりたい

カウンセリングルームながまち」上級心理カウンセラー  Chie

1 ポジティブ・ネガティブ

ポジティブであることとは、物事を肯定的にとらえ、前向きな気持ちで行動する傾向であり、一般的には良いこととされています。
もちろん、物事を肯定的にとらえられるほうが心身の負担は少ないでしょうから、ポジティブに生きていけるなら、それに越したことはないと思います。

でも、中には、「ポジティブになれない」こと、「自分がネガティブである」ことにひどく悩んでしまう方もいます。
「私って、どうしても前向きに考えられないんです・・」と、自分を責めて涙してしまったり、そんなネガティブな自分を他人に見せられないとばかりに、殻に閉じこもってしまったり。

では、物事をつい悪いほうに考えてしまうネガティブ、「後ろ向き」と言われる思考は、そんなに悪いことなのでしょうか。

社会に適応するためポジティブの仮面をつけながら、自分のネガティブさに悩みまくった私なども、「ポジティブ思考」を身に着けて楽になりたくて、恥ずかしながらいろいろな試行錯誤をしてきました。

例えば頭の中を嫌な考えが周り続ける「ぐるぐる思考」を止める効果があるとされる、考えをノートに書きだす作業をしているうち、もともとリウマチで痛む手首が悲鳴を上げてギブアップしたり、ひとりでくよくよと何時間も同じことを考え続けているうち、何が前向きで何が後ろ向きなのか、正直なところわからなくなることもありました。

2 ポジティブであることが強迫に変わるとき

さらに苦しんでしまったのが、「ポジティブな考え方や態度が、それにふさわしい現実を引き寄せる」という、いわゆる「引き寄せ」の法則を意識し始めた時です。もちろん、この法則・考え方自体は、その法則を知り、意識的に行動していくことによって幸せな現実を作っていきましょう、ということで、なんら責めるようなものではありません。

昔から「類は友を呼ぶ」とも言いますし、普段から人柄もよく努力もしている方が、それにふさわしい環境に恵まれていくことに、特に不満も違和感もありません。
それに、ポジティブで明るい人は、人気もあって幸せそうに見えるため、現実的にも説得力のある法則だったのです。

問題は、納得できる法則なだけに、「自分はどうしても、その好循環を生み出す源になるポジティブな考え方ができない」という自覚があると、ずーっと悪循環が続くのか、という絶望的な未来を心に抱えこんでしまうことなのです。
ただでさえ、ネガティブな考え方をやすやすと手放せない傾向は、自分苛めの根拠探しにも長けていることがありますから。

ネガティブであることに悩む時は、往々にしてポジティブになる方法を、必死になって研究したり実践したりしてみますが、一度、「ポジティブ」とか「前向き」とかいう言葉から離れてみたらどうでしょうか。

人間一人、ポジティブだろうがネガティブだろうが、世の中はそんなに困らないし、特に変化もありません。
無理にポジティブになろうとあがくよりも、ネガティブと思われる現在の自分を「そのまま」にしておいたほうが、はるかに苦しみは少ないのでは、と思うのです。
長い期間をかけて形成されたネガティブな傾向を逆方向に向けようとすることは多大な努力が必要となりますし、往々にして努力は不毛に終わり、今もっている長所を失っただけ、という悲しいことになりかねません。

よく言われる通り、強い光の下にはひどく暗い影が落ちるように、何が幸せで不幸かは、長い人生を通じて俯瞰して見ないとわからず、私達が生きている世界は、しょせん前も後ろもない曖昧な場所なのですから。

「幸福とは幸福を問題にしないときをいう。」とは、芥川龍之介の言葉です。
 
「ポジティブとは、ポジティブを問題にしないときをいう。」
文豪の名言をちょっと真似てみました。
                 

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