ヒガンバナの花

ストレスを減らすために・・・ストレスの関数

カウンセリングルームながまち 室長 精神保健福祉士 樋口明夫

S=f(p,d,s)
S:ストレス
p:予測(prediction)
d:要求(demand)
s:支援(support)

30年以上前に宗像常次先生から教えていただいた関数

1.30年以上前、宗像常次先生から教えられた関数の式 

 いきなりわかりにくい関数の式から書き出してすみませんが、これは今から30年以上前の平成の初め頃、宮城県精神保健福祉センターでの研修で、当時筑波大学で保健学の助教授をされていた宗像恒次(むなかたつねつぐ)先生から教えていただいた、「ストレスは何で決まるのか」を表した式です。

 先生がこの式を黒板に書かれたときは、「は?」と、頭の中に疑問符が浮かびましたが、説明を聞いて意味が理解できると、シンプルだけれども、とてもツボをついた式なので、「これはすごい!」と、とても感動したことを覚えています。

2.ストレスは何で決まるのか・・・関数の意味するもの

 S(大文字のS)はストレス、pは予測、dは要求、s(小文字のs)は支援を指します。ストレスの量、つまり我々の感じる精神的辛さ、しんどさは、p(予測;どのくらい先の見通しがつくか)、d(要求:どのくらいを望むのか)、s(支援:周囲からのサポート)によって決まると、宗像先生は言われていました。

 置かれた状況の中で、先の見通し(p)がつくようになるとストレスは軽減する、要求水準(d)を下げるとストレスは軽減する、周囲から多くのサポート(s)が得られるとストレスは軽減する、ということなのです。 

 先の見通し(p)がつかないと、「いつまでこの苦しさが続くのだろうか」と考え、絶望的な気持ちになりがちです。しかし、先日本ブログにてご紹介した「これもまた過ぎ去る」という言葉が示すとおり、永久に続く苦しみはありません。だから、なるべく見通しがつきやすいようにと考え、その時その時で自分が話せることをお伝えしてきました。

 また、親や学校の先生からの刷り込みで、「やればできる」、「頑張ればなんとかなる」と考えてしまい、できない自分を責めていることがあります。しかし、「平安の祈り」の言うとおり、世の中には変えられるものと、変えられないものがあります。要求水準(d)を下げて、ほどほどのところで手を打つ方が現実的なことは少なくないです。

 さらに、支援(s)は多い方がうまくいくことが多く、結果としてストレスが軽減しますので、まだ使える制度や社会資源はないか一緒に考えてみたり、こちらからご紹介したり、自分が相手にできることがないか考えて提案します。世の中の対人援助職には「支援すぎると、人は依存的になる(のでよくない)」と考える人がいますが、人は人に依存したり、依存されたりしながら生きていくもの。支援は多い方がよいのです。

3.さまざまなな場面で活かせるストレスの関数

 宗像先生にこの式を教えていただいた研修を受けたのは、私がまだ20代で、福祉事務所の生活保護担当ケースワーカーをしていたころでした。担当していた生活保護受給者の方にどのように接したらよい支援ができるのか悩むようになり、勉強しなければ、と考えて宮城県精神保健福祉センターでの研修に時々参加させてもらってました。宮城県精神保健福祉センターは、当時仙台市青葉区本町にあり、研修のご案内が私が働いていた福祉事務所にも届いていたのです。

 それから、早いもので30年以上が経過しました。その間仙台市の保健福祉センター、児童相談所等でソーシャルワーカー、や係長職、管理職として仕事をさせていただき、今年5月に<カウンセリングルームながまち>を立ち上げました。

 この間、様々なストレスを抱えた相談者の皆様や、職場で一緒に働く部下の相談に乗る機会が数多くありましたが、そんな時いつも頭の片隅にあったのが、冒頭の関数の式です。

 当時宗像常次先生は厚生労働省のエイズサーベイランス委員会の委員をしておられ、ご講義の中で、今回ご紹介した「ストレスの関数」のほかに、HIVウイルス感染とストレスや薬物乱用の関係、日本での人口に占める薬物乱用者の割合は統計的にアメリカと比較しても決して少なくないことなど、とても興味深いお話を伺いました。

 宮城県精神保健福祉センターにおける宗像常次先生のご講義は、研修参加者の記憶の中に30年以上もとどまり続ける素晴らしい内容でした。
(写真は9/24カウンセリングルームながまち前のヒガンバナです)


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