岸見一郎「普通につけるくすり」表紙

岸見一郎氏の「普通につけるくすり」


「特別である必要はまったくなく、むしろ、特別であろうとすることが人生を生きづらくすると私は考えています」

「普通」につけるくすり 岸見一郎 氏

1.岸見一郎氏とアドラー心理学

 先月出版された岸見一郎氏の「普通につけるくすり」を読みました。岸見氏はもともと哲学を専攻されたのち、アドラー心理学を勉強された方、アドラーは、19世紀末から20世紀初頭に、オーストリアのウィーンで活躍した精神科医・心理学者です。
 岸見氏のベストセラー「嫌われる勇気」はアドラー心理学についてわかりやすく解説した本で、私も以前興味深く読ませていただきました。また、氏の著書「叱らない、ほめない、命じない。新しい時代のリーダー論」もとても興味深く、管理職の仕事をしていく上で参考にさせていただきました。

2.「普通につけるくすり」について

 若いときに学業や仕事で「自分はできる人間だ」と思っていた人でも、自分はそうでないかもしれない、ナンバーワンにも、オンリーワンにもなれないのではないか、と不安を抱くことがあると思います。
 学校でも、職場でも他の人と優劣を競わされる「競争」の機会は多いですが、その中で人に負けてはいけない、特別でなければいけないという価値観に縛られることで、過度な緊張と不安にさらされ、生きづらさを感じてしまうことも多いことと思います。親の価値観を自分のものとして取り入れてしまったり、先生や上司の何気ない一言から影響を受けることも多いのではないでしょうか。
 「普通につけるくすり」は、そのような人に向けて、「普通であってはいけない」、「特別でなければならない」という考えを手放し、「普通」であることを受け入れ、他人と競わずに、「ありのままで、他の人と違って生きられる」、そうすることで自分本来の力を発揮して生きられる、という力強いメッセージを送っています。

3.「普通」とはどういうことなのか?

 しかしながら、「普通」であるということはどういうことなのでしょうか。岸見氏は「普通」であるということは、「皆と同じになる」ということではない、むしろ皆と同じであってはならない、と強調されています。
 自己主張に蓋をして、無理に皆と同じであろうとするのではなく、人の見ていないところでも、あるいは人から褒められなくても、自分のやるべきことをしっかりとやっていくこと、「同調圧力」に屈せずに主張すべきことを主張していくことの大切さを繰り返し述べられています。
 そういう意味では、競争から降りて楽な道に逃げることを勧めているのではなく、ある意味とても厳しいことを言われているとも感じました。
 他人からの評価を気にして、競争して勝つことしか考えていない人は、自分中心で自分のことしか考えていない人、という指摘にもハッとさせられます。自分だけが競争に勝とうとするのではなく、他の人に貢献することが、見せかけではない真の自信や、誰にとっても人生において最も大切な「幸福に生きる」ことにつながる。とても深いメッセージだと思いました。

4.回復(リカバリー)に貢献するカウンセリング

 「様々なご事情から困難や生きづらさを感じているクライアントのお話をしっかりと伺い、伴走することで、クライアントの回復(リカバリー)に貢献したい。」<カウンセリングルームながまち>を開設した時のこの初心を忘れず、これからも<対話>を積み重ねてまいります。岸見一郎氏の「普通につけるくすり」を読み、あらためて自分のやるべきことと、進むべき方向性を確認させていただきました。


 カウンセリングルームながまち 室長 樋口明夫
 

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