1.「ひきこもり」支援の羅針盤・・・斎藤環先生の「社会的ひきこもり」
これまで「ひきこもり」の方の支援の際、精神科医斎藤環(たまき)先生の「社会的ひきこもり」等の一連の著書を参考にさせてもらってきました。
斎藤先生の著書は、「ひきこもり」の定義、治療や支援の必要性、ご家族からの相談に始まり、ご本人が治療に登場し、「回復」に至る流れなどが整理されています。私にとって、また「ひきこもり」の方の支援にあたるすべての人にとって、「羅針盤」と言えるものです。
ご本人は表面的には「困っていない」ように見えても、内心では焦りや自責感を抱いて苦しんでいることが少なくないこと、すべての「ひきこもり」の方に治療や支援が必要というわけではないが、治療や支援がないと長期化してしまうことが少なくないということなど、実際にご本人のお話を伺いながら納得することがとても多かったです。
2.家族のコミュニケーションを改善する会話、悪化させる会話
斎藤先生は、家族内のコミュニケーションに注目されています。ご家族は焦りと将来への不安、ご本人へのやさしさから「仕事」や「将来の生活」、「経済的問題」など、ご本人にとっては「わかっている」こと、内心では不安に感じていることを口にしてしまい、反発したご本人がますます心を閉ざして、会話が成り立たなくなってしまう・・・
このようなことは多くのご家庭で起こりがちですが、状況を深刻化させるのも家庭内での言葉や会話なら、改善するのも言葉や会話です。「仕事の話」、「将来の話」など(内心では)ご本人が気にしている「難しい話」を避けて、「おはよう」、「ただいま」などのあいさつ、天気の話、ご本人が好きなTV番組やタレントさんの話、スポーツの話など、ご本人の不安や反感を高めない「当たり障りのない」会話からコミュニケーションを改善していくことを、斎藤先生は以前から勧められています(ご家族にアドバイスすると「なんだそんなこと?」という表情をされる方が多いのですが)。
3.課題解決の第一歩・・・まず困っている方がご相談ください
この間、「ひきこもり地域支援センター」がすべての都道府県・政令指定都市に設置されるなど、相談体制や「居場所」の整備が進められてきましたが、いまだ支援につながっていないご本人、ご家族は少なくないものと思います。いわゆる「8050問題」に象徴されるように、「ひきこもり」が若い人の問題であった時代は過去となり、「ひきこもりの高齢化」の時代にすでに突入しているように感じられます。
「ひきこもり」に限ったことではありませんが、家族内で起こっている問題は、見て見ぬふりをして時が経つのを待つうちに、より深刻化して、改善を図ることが難しくなりがちです。いわゆる「ご本人」が相談・支援の場に足を運んでくださることも、最初は難しいものです。まず、家族の中で悩んでいる方、困っている方(健康な方とも言い換えられます)が勇気をもって適切な相談機関に足を運んでくださることが、問題解決・回復へ向けての第一歩となります。
<カウンセリングルームながまち>も「ひきこもり」など、様々な家庭内の課題の解決に向けて、「対話力」を磨き、関係機関の皆様と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。
カウンセリングルームながまち 室長 樋口明夫

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