講義中の岩城先生

8月7日第500回記念宮城県アディクション問題研究会ご報告

カウンセリングルームながまち 室長(宮城県アディクション問題研究会事務局) 樋口明夫
 

1.第500回記念岩城利充先生講演会

 8月7日、宮城県アディクション問題研究会(以下「アディクション研」と言います)の第500回記念講演会に参加しました。アディクション研は、昭和56年(1981年)から45年間月1回アディクション(依存症)及び関連する問題について自主的な勉強会を続けている、大変長い歴史を持つ研究会です。

2.45年間続く研究会

 今回は冒頭アディクション研代表の東北会病院理事長 石川達(とおる)先生よりご挨拶がありました。石川先生は昭和56年の発足時から代表を務められており、当時、問題を起こすアルコール依存症の単身男性の対応に苦労していた仙台市北保健所(現仙台市青葉区保健福祉センター)の加藤裕子(ひろこ)精神衛生相談員から相談され、研究会を始めたとのことです。加藤氏は仙台市の精神保健福祉相談員の草分けであり、現在も研究会の事務局を務められています。

 昭和56年当時は、東北会病院でのアルコール依存症の専門医療、仙台市での「酒害相談」などが開始された、アルコール依存症医療、アルコール問題対策の黎明期でした。当初「宮城県薬物問題研究会(薬問研)」という名称でしたが、約30年前に現在の「宮城県アディクション問題研究会」に名称変更されています。

3.「小児科診療から見る子どもと家庭」

 第500回の今回は、公立黒川病院小児科の岩城利充先生より、小児科診療から見る子どもと家庭―医療と医療をこえるもの」のテーマでお話をいただきました。岩城先生は、愛知県、岐阜県、そして当県の大崎市民病院、公立黒川病院の小児科、新生児科において長年診療に当たられ、多くの極低体重出生児、重症心身障害児のお子さん、親御さんの支援に当たられてきました。

 小児科診療の中で、児童虐待、マルトリートメント(不適切な養育)の被害を受けたお子さんに出会うことも多く、児童虐待予防のために児童相談所、市町村児童福祉部門、保健所等行政機関との連携が不可欠と考え、毎年秋に大崎市古川で「虐待防止県北シンポジウム」を開催されてこられました。このシンポジウムは昨年で第16回を数えています。

 また、東日本大震災直後、被災者の診療・支援に当たられる中で、グループでの支援を学ぶためにアルコール依存症者の自助グループAA(アルコホリクス・アノニマス)に参加されたり、アディクション研に参加されるなど、大変お忙しい中、医療の枠を飛び越えた精力的な活動を続けてこられました。 

 今回のご講演では、多くの極低体重出生児、重症心身障害児と、そのご家族を支援する中で感じた思いを中心にお話しいただきましたが、こころの奥深いところを揺さぶられるような、ずっしり響く内容のお話でした。

4.生と死が隣り合う世界

 小児科・新生児科医療はまさに「生と死」が隣り合う世界であり、命をつなぐことができた場合でも、長期にわたる医療や福祉的支援が欠かせないことが少なくなく、様々な面で子どもさん本人、ご家族の負担は言葉では表しにくい大変さがあります。在宅生活を支えるために必要だけれども不足しているサービスの創設の取り組みや、行政機関との連携した支援等について、教えていただきました。

 アディクション研に初めて参加した平成の初めごろ、私は区役所の保護課で生活保護のケースワーカーをしておりましたが、当時アルコール依存症の単身男性が多く、昼間窓口へ来て「金を貸せ」など騒いだかと思うと、その夜に肝硬変からくる食道静脈瘤破裂で亡くなったり、自死されたり、アルコール依存症も死と隣り合わせでした。アルコール依存症っていったいなんなんだろう?と疑問に思ったのが、アディクション研に行くようになったきっかけで、約20年前から事務局として企画・運営を担当させていただいています。

 今は昔のように酒を飲んで騒ぐ人は少なくなりましたが、静かに健康を失っていく方が多いのは昔と変わりません。関係機関で連携した支援が必要な点も今回の岩城先生のお話と重なるところがあります。

 アディクション研第500回にふさわしい、心に残るお話をしてくださった岩城先生に感謝します。

コメント

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