エルソーラ仙台からの夜景

9月4日宮城県アディクション問題研究会ご報告

カウンセリングルームながまち 室長(宮城県アディクション問題研究会事務局) 樋口明夫

「自分の足で通い、体で覚える」

断酒会員の言葉

1.第501回宮城県アディクション問題研究会「宮城県断酒会員の体験談」 

9月4日、第501回宮城県アディクション問題研究会(アディクション研)に参加し、司会を務めさせていただきました。

 今回は、「宮城県断酒会員の体験談」のテーマにて、NPO法人宮城県断酒会理事長 飯塚裕 様、同理事 大平孝夫 様よりお話をいただきました。

2.貴重な回復の体験談と、断酒会の取り組み

 お二人とも、平成一桁の時代に依存症の専門病院の受診から断酒会につながり、現在まで非常に長い間断酒を継続されている、宮城県断酒会のレジェンド的な方です。しかし、そこに至るまでのご苦労は、ご本人、ご家族共に大変なものがあり、まさに「底をつく」体験を経て、回復の道を歩き始める道のりを、時にユーモアも交えながら、詳しくお話しいただきました。

 「自分の足で通い、体で覚える」など、言葉の一つ一つに、体験した人ならではの重みがあり、「回復者人格」という言葉がぴったりくるお二人の人柄にも感銘を受けました。治療や断酒会につながったばかりの人にとっては、「自分もこの人のようになれるかも、なりたい」と思える、目標となる存在であることと思います。

 また、宮城県断酒会が運営されているアルコールリハビリホームどんんぐりについてもお話を伺うことができました。スポーツやレクリエーションなど楽しい時間を大切にしながら運営されておられるということでしたが、アルコール依存症の男性15人を集団でケアすることの大変さについてもうかがうことができました。社会的な意義が大きい仕事に、情熱をもって取り組まれていることに頭が下がりました。

 お話をお聞きした後、参加者からの質問に答えていただく時間を設けましたが、アルコールに依存するに至った背景や、受診や断酒会につながったときの気持ちについてなど、様々な質問が寄せられました。アルコール依存症は「人間関係の病」ですが、「人間関係の中で回復する」ということをあらためて思い起こしました。

3.「底つき理論」と「底上げ理論」

 以前、アルコール依存症などアディクション支援の世界で、治療に結び付けるために、本人の「底つき」が大事であると強調された時期がありました。その頃は、意図的に本人を手助けすることを避けて、「底つきさせる」ことが肯定されたのですが、そうすることで重症化したり、最悪の事態を招くことがあったため、現在意図的に底つきさせることは否定されるようになり、早期に支援や受診につなげる「底上げ」が推奨されています。

 確かに、「底つきさせる」ことにはリスクがあり、「底上げ」が大事、ということはよく理解できます。しかし、「否認の病気」とも言われ、受診へのモチベーションを持ちにくいことが特徴のアルコール依存症などアディクションを持つ本人が治療や自助グループにつながるまでに、「底をつく」体験が必要なことは、現在でも一面の真理なのだと思います。

 アディクションを持つ当事者が底つき体験を振り返り、正直に話して仲間と分かち合える自助グループという場が、断酒、回復という困難な道のりを歩いていくためにこの上なく大切なものなのだと思います。

4.心に迫る回復の物語(ストーリー)

 苦しみのどん底から這い上がってきた回復者のお話は、いつも心に迫るものがあり、悩みながら生きる私たちに知恵と希望を与えてくれます。宮城県断酒会の飯塚様、大平様、この度は貴重なお話をいただき、本当にありがとうございました。
 (写真はエルソーラ仙台から北側の夜景(2025年9月4日))

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