全国ギャンブル依存症家族の会コーラス部

9月6日全国ギャンブル依存症家族の会第8回総会セミナーのご報告

カウンセリングルームながまち 室長 精神保健福祉士 樋口明夫

1.仙台市で全国ギャンブル依存症家族の会のセミナーが開かれました

 先週の土曜日、仙台市青葉区一番町の電力ホールで開催された「全国ギャンブル依存症家族の会第8回総会記念セミナー」に参加しました。

 全国組織の総会は東京で行われることが多いですが、全国ギャンブル依存症家族の会総会は、全国の都市の持ち回りで実施されており、今年は仙台の開催になりました(大変ありがたいことです)。全国から多くの会員が仙台に集まり、更に国会議員や県内外の市議会・町議会議員、私のような一般の参加者など、あの電力ホールが9割がた埋まり、開始前から会場は熱気に包まれました。

2.当事者・家族の体験談

 まず、議員の方の挨拶の後、仙台で精神科病院への入院を経て回復の道を歩んでおられるギャンブル(パチンコ)依存症の当事者から、続いてその方の奥様から体験談をお話しいただきました。

 当事者がギャンブルにより多額の借金や虚言を繰り返すことで、家族の歯車が壊れていく経過や、ご家族がギャンブル依存症家族の会の支援につながり、当事者を治療に結び付けた経過について、とても詳しくお話しいただきました。

 高額な借金が発覚した際に家族や親族が「本人のために」、または「家族を守るために」肩代わりをすることで、当事者は再びギャンブルをすることが可能になり、支援や治療につながることが先送りされ、問題がエスカレートします。

 しかし、ご家族にとって「肩代わりしない」ことは、大変な勇気を必要とする決断であり、そのような適切な対応をとるには、まずご家族自身がギャンブル依存症家族の会など、専門の相談機関・医療機関につながり、支援を受ける必要があります。

 今回のセミナー会場のような、大勢のリスナーの前で、体験談をお話しすることは、ものすごく勇気のいることですが、とても困難な道のりを正直にお話しいただき、私も含め会場の多くの人は感動の涙を流していました。お話しいただいたお二人に感謝です。

3.石川達先生の講義「ギャンブル依存症は正しい知識と支援で変わる」

 続いて、東北会病院理事長、精神科医の石川達(とおる)先生より、「ギャンブル依存症は正しい知識と支援で変わる」というテーマでお話がありました。

 最新の研究では、ギャンブル依存症の人は約300万人、アルコール依存症の約3倍と推計されているとのことですが、そのうち治療や自助グループにつながっている人はごく一部であり、多くの本人、家族が混乱と苦しみの中にいます。ギャンブル依存症の人の脳は、「当たり」が出ても大きく反応しない(興奮しない)状態に変化しており、ギャンブル依存症が脳の病気であるということが、最近の脳画像の研究からも裏付けられているということです。

 アディクション(依存症)は伝統的精神医学、力動的精神医学、宗教の三者から「治らない」と見捨てられたが、回復への希望が見いだせるようになったのは「自助グループ」の活動によってであること、をAA(アルコホリクス・アノニマス;アルコール依存症の自助グループ)の草創期のメンバーと、精神医学・心理学の元祖の一人カール・ユングの対話を紹介しながら、お話しいただきました。いつもながら、石川先生のお話、興味深かったです。

4.田中紀子代表のお話

 続いて、全国ギャンブル依存症家族の会の代表である田中紀子氏のお話でした。田中氏はギャンブル依存症の人の家族でもあり、当事者でもあるとのこと。全国ギャンブル依存症家族の会を立ち上げ、非常に精力的な活動を続けていらっしゃいますが、最初に自助グループ(GA)につながった時には、ミーティングの部屋の片隅で、体育座りして泣いていたとのこと。今のエネルギッシュな活動ぶりやお人柄とのあまりのギャップに思わず笑ってしまいました。

 「全国ギャンブル依存症家族の会」という名称ですが、家族を支援するだけでなく、田中氏が「当事者支援部」を立ち上げ、「当事者による当事者の支援」にも大変力を入れていらっしゃいます。セミナーの最初に体験談をお話しされた当事者の方も、当事者支援部の支援を受け、現在は支援する側にも回っておられるということです。「当事者による当事者の支援(ピアサポート)」は、医療や支援につながったばかりの当事者にとって、もっとも強力なサポートであり、支援する当事者の回復にも大きな貢献をする、非常に優れた取り組みだと思いました。

5.コーラス部の発表

 最後に、全国ギャンブル依存症家族の会コーラス部より素晴らしい歌声を聞かせていただき、岡本真夜さんのTomorrowを会場全員で合唱して、フィナーレとなりました。コーラス部は、東京の合唱コンクールにも出場しているそうですが、コーラス部に参加して活動できるようになるまでの、メンバーの方々の苦難を考えると、胸が熱くなりました。

6.ギャンブル依存症は全国で300万人…正しい理解と対応が求められています

 ギャンブル依存症への正しい理解と対応が、社会全体で大きく広がっていくことが、求められています。今回のセミナーは、全国規模の大掛かりなセミナーで、登壇された方々のお話(合唱も)大変意義深い、素晴らしい内容のものでした。準備や当日の運営に当たられた全国ギャンブル依存症家族の会の皆様のご苦労は並大抵ではなかったと思います。このようなセミナーをここ仙台で開催していただき、また参加させていただき、本当にありがとうございました。

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