宮城県アディクション問題研究会(2025年6月)

6月10日宮城県アディクション問題研究会ご報告

1.第3回アディクションアプローチ基礎講座「治療と回復について」 

先週の火曜日(6月10日)、宮城県アディクション問題研究会に参加しました。4月から3回シリーズで行っている「アディクションアプローチ基礎講座」の第3回、今回のテーマは「治療と回復について」、講師は4月、5月に引き続き、東北会病院理事長、精神科医の石川達(とおる)先生です。
 ①回復の経過、②治療についての認識の共有、③「飲酒行動修正」の支援、④回復について、⑤回復の場、⑥家族支援について、⑦回復支援について、⑧オープンダイアローグの各項目について、詳細にお話をいただきました。

2.アディクション問題の広がりと治療や回復についての知識の必要性

 今回はアルコール依存症を中心としたお話でしたが、我が国においてアルコール依存症の方が約100万人と推計されているのに対して、ギャンブル依存症の方は約300万人と推計されているそうです。治療や支援につながって回復の道を歩んでいる方はそのうちのごく一部と考えられますし、ご本人だけでなく、ご本人の行動に悩んでいるご家族も含めると、支援を必要としている方は、非常に多いと思われます。
 しかしながら、アルコール、ギャンブル以外のアディクション(依存症)も含め、その治療や回復支援に必要とされる知識について、専門職や支援者と言われる方も含めてしっかり共有されているとは言い難いのが現状です。

3.石川先生のお話より

 石川先生のお話から、特に印象に残った部分を以下に箇条書きします。いずれも、奥深く、味わい深い言葉だと思います。

  • (飲酒など)嗜癖行動が止まってからも支援が必要。依存症回復過程で起こる「見えにくい苦しみ」を理解する。
  • PAWS(急性離脱後症候群)の理解は、再発予防と支援の鍵。
  • 長期的視点で関わる。タイムスパンを長くとる。
  • 「まだ苦しんでいる」は「治っていない」ではなく、「回復中」であることを理解する。
  • 「本人が来なくては…」という治療者はそれだけでアウト。家族に働きかける段階から治療が始まる。
  • 回復支援とは、addiction(嗜癖)からconnection(つながり)への過程を支援すること。
  • 人間は両価的。「飲みたい」⇔「やめたい」を行き来する。両価性を尊重する。
  • 再発の三大心理的要因は「恨み」「あせり」「不正直」。
  • 共感的で非対立的な関わりが信頼関係を築く。
  • 回復とは、セルフケア(養生)ができるようになること。
  • 回復には、正直に語れる「場」が必要。
  • 自助グループにつなげるのが支援者の役割。
  • 回復支援とは、弱さを正直に語れる場(人間関係)の提供。
  • 支援ができる人は弱さを共感できる人。
  • 支援者の姿勢のポイント「判断しない」「共感する」「一緒に考える」「解決するのではなく伴走する」

4.結びの言葉(オープンダイアローグを生かした支援)

 最後に石川先生から、近年注目されている回復支援の考え方として「オープンダイアローグ」の紹介がありました。
 「白黒をつけない、物事をはっきりさせない、結論を出さずに続ける」など、魅力的な考え方で、アディクションに限らず、様々な分野の支援に生かしていくことができそうです。
 今回も、石川先生より大変貴重なお話を伺うことができました。
 次回の宮城県アディクション問題研究会は、7月3日木曜日18時30分より仙台駅前アエル28階 エルソーラ仙台研修室にて行います。

カウンセリングルームながまち 室長 樋口明夫

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