「他人のために」は幸せでしょうか

カウンセリングながまち」上級心理カウンセラー Chie

1 利他的行動によって幸せを感じること

「人が笑った顔を見るのが好き」「他の人に喜んでもらえるとうれしい」時折、笑顔とともにそんな言葉がテレビの映像で流れることがあります。

 多くは、なんらかのボランティア活動とか、募金活動とか、献身的な仕事を行っている方々が紹介されるときです。

 たしかに映像に映る彼らの顔は輝いており、楽しそうです。

 他人の幸せのために行動すると、人は幸せになれるのでしょうか。
  
 ニッセイ基礎研究所保険研究部の岩﨑敬子准主任研究員のレポートでも指摘されているように、「自分に何らかのコスト(時間、労力、お金、など)」を負いながら他者に利益を与える利他的行動は、その行動をすることによって幸せになっている可能性もあれば、幸せだから利他的行動をしている可能性もあります。

 同氏のレポートでは、利他的行動について、これまで行われてきた様々な因果関係の検証と、同氏が所属される研究所での大規模実験による検証結果が紹介されています。

 結論としては、利他的行動は幸福度を高める可能性があることが確認されたとのことですが、一方で、この利他的行動の幸福度への効果は短絡的で、長期的に見ると負の影響がある可能性があることを示唆する研究も発表されているということです。

2 利他的行動と他人のために生きること

 上記のリポートの中で、利他的行動を長期的に積み重ねることが、負の影響がある可能性を示唆する研究も発表されていることは、興味深い点です。

 同レポートにもあるとおり、利他的行動の長期的な影響に関する検証や、利他的行動と幸福度の関係についてのメカニズムがさらに検証されていくことが期待されます。

 そうした学術的な話は別として、私達の多くが、仕事でも私生活でも、何らかの行動をして誰かから「助かりました、ありがとう」と感謝されると、うれしい気持ちになります。

 でも、そのひと時が過ぎれば感情は流れていきますし、「自分のできる範囲」を超えてずっと利他的な行動をしていたら、疲弊してしまうでしょう。

 長期的に利他的行動をしても幸せでいるためには、自分が無理をしないこと、相手の喜ぶ顔を見て心底うれしいと思えることかと思います。

 しかし、往々にして「相手を喜ばせたり、心配させないためにずっとに無理をしてしまう」人達がいます。

 幼い頃から両親の間をとりもつのが当たり前の環境で育ってきたり、保護者から子どもらしい世話を受けたり甘えたりできなくとも、「自分は大丈夫」な振りをして周囲を安心させてきたような、「アダルト・チルドレン」(AC)の人達等などは典型的です。

 ACは、「喜ばれるのがうれしい」といった、ごく自然の感情とは異なり、「これ以上状況が悪くならないように、これ以上親が悲しまないように」するために笑顔を見せ、頑張り続けます。

 幼い頃から、あまりにも演じ続けたがために、自分の感情自体が分からなくなってしまうのです。

 これは、 「利他的行動」というよりも、もはや「他人のために人生を生きる」ことが癖になってしまったようなものかもしれません。

 利他的行動を積み重ねていくことと、他人のために生きることは全く別のことです。

 自分の言動によって、他人が笑顔になるのは素敵なこと。

 ACの一人として、そんな喜びをかみしめられる人生を送りたいものです。 


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