カウンセリングルームながまち 室長 精神保健福祉士 樋口明夫
1.フィンランド発の対話実践
「オープンダイアローグ」とは直訳すると「開かれた対話」という意味です。1980年代にフィンランドのケロプダス病院という精神科病院で実践が始められたケアの技法であり、対話の「哲学」とも言えるものです。
2.オープンダイアローグとの出会い
この言葉を初めて耳にした時のことは10年近くたった今でも忘れられません。2017年に日本嗜癖行動学会が仙台で行われることになり、その前年に第1回の実行委員会が行われました。その席で、東北会病院の石川達(とおる)先生から、学会では「オープンダイアローグ」について斎藤環(たまき)先生をお呼びして基調講演をしていただく予定であるとお話があり、オープンダイアローグについての簡単な説明のあと、ケロプダス病院での実践を記録した動画を視聴しました。
患者さん本人と家族など関係者、複数の病院スタッフが車座のように丸くなって椅子に座り、リラックスした雰囲気で対話を進めていく動画でした。病院の建物は、日本の古い病院と変わらない感じでしたから、動画の画面だけ見ているとあまり「最先端」という雰囲気は伝わってきません。
しかし、初めて聞く「オープンダイアローグ」についての説明は、非常に斬新で、驚くべきものでした。「患者さん(クライアント)のことについて、スタッフだけで話すのをやめる」、「初回の相談から24時間以内に集まり、関係のある人皆で、必要があれば毎日でも対話を続ける」など、「そんなことできるのか?」と最初は疑問に感じました。
石川先生に疑問をぶつけてもみたのですが、「来年の学会で一緒に勉強しましょう」とかわされました。
3.オープンダイアローグのコンセプトを生かしたカウンセリング
2017年の日本嗜癖行動学会では斎藤環先生のオープンダイアローグについての講演をお聞きし、その後も斎藤先生やオープンダイアローグの創始者ヤーコ・セイックラ氏、日本で実践をされている森川すいめい氏などの著書を読み、東京でのワークショップに参加するなど自分なりに勉強を続けています。
Nothing About Us Without Us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)という、障害者権利条約が作られた時のスローガンは有名ですが、大事な決定を患者さん(クライアント)本人抜きで決めるようなことをしない、十分に対話を重ねて、ご本人が納得できる結論を探していくオープンダイアローグのコンセプトは倫理的に優れているだけでなく、課題の解消へ向けた有効性の点でも優れていると思うのです。
当<カウンセリングルームながまち>は小規模な有料カウンセリングルームという制約から、オープンダイアローグそのものを行うことは難しいかもしれませんが、その原則やスピリットを理解した上で、クライアント様の回復へ向けて対話による支援を続けていきたいと思います。
今後本ブログにて、少しずつ「オープンダイアローグ」の原則などについてご紹介させていただきますので、お読みいただけると幸いです。

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